最近、「〇〇に投資すれば確実に年利30%」「参加者を紹介するだけで収入が倍増」といった甘い言葉で投資を勧誘される事例が増えています。金融詐欺の歴史は古く、その手法は時代とともに変化しながらも本質は変わりません。特に「ポンジスキーム」は世界中で繰り返される古典的な金融詐欺の一つです。

ポンジスキームの仕組み、繰り返される歴史
① 出資者からお金を集める:元本保証+異常な高利回りをエサに広告・紹介を駆使し勧誘
② 運用して配当金を支払う:実際には運用せず、集めたお金を一部横流しして配当
③ さらに集客・増額:支払われた高配当金で信用を得て、出資者からさらに増額、新規集客
④ ある程度お金が集まったら失踪:配当が止まったことに気づかれたころには音信不通
以上がポンジスキームの仕組みです。実際に事業や投資で利益を生み出しているわけではなく、新しい出資者のお金を古い出資者に回しているだけなので、必ず破綻します。名称の由来は1920年代にアメリカでこの手法を大々的に行った詐欺師チャールズ・ポンジに由来します。
最も有名なポンジスキーム事件は、2008年に発覚したバーナード・マドフによる650億ドル(約9兆円)規模の詐欺です。マドフは元NASDAQ会長という地位を利用し、富裕層や慈善団体から資金を集め、約束した8〜12%の安定リターンは新たな投資家からの資金で支払われていました。金融危機で新規資金が途絶えると一気に崩壊しました。
日本でも「豊田商事事件」「L&G事件(円天事件)」「安愚楽牧場」など、多くのポンジスキーム型詐欺が発生しています。2018年には暗号資産を使った「ビットコネクト」詐欺も発覚し、手法は進化しても基本構造は同じです。さらに2022年には「ジャパンライフ」事件で元会長に懲役8年の判決が下されるなど、高齢者を標的にした悪質な事例も続いています。
現代のポンジスキームの特徴的な点は、SNSやオンラインコミュニティを活用していることです。「成功者」を演じる人物がゴージャスな生活をSNSで見せつけ、「同じように成功したい人は連絡を」と誘導するパターンが増えています。また、暗号資産・仮想通貨や海外不動産など、一般の人にとって実態が把握しにくい投資対象を使うことも特徴です。
だまされない為の対策
これらの事件に共通するのは、「高利回り」「特別な投資手法」「限定的な参加権」といった甘い言葉で投資家を惹きつける点です。また、初期の参加者は実際に利益を得ることもあるため、口コミで広がりやすいという特徴があります。
ポンジスキームから身を守るために最も重要なのは、健全な懐疑心を持つことです。「年利20%以上」「必ず儲かる」といった言葉には疑問を持ちましょう。どんな投資にもリスクはつきものであり、リターンが高ければそれに見合うリスクが存在するはずです。元本保証で年利10%を超えるような金融商品はありません。
「利回りが高い商品には必ずそれに見合うリスクがある」「分散投資が基本」といった原則を理解していれば、非現実的な話に惑わされることはありません。お金の基礎知識を勉強してマネーリテラシーを身につけ、そして主要な詐欺手法を知って、物事の善悪の判断のできる自立した社会人を目指したいものです。
また、投資先の実態調査も欠かせません。会社案内やウェブサイトのどから、登記情報、許認可情報、財務状況、事業モデルなどを確認し、本当に持続可能なビジネスなのかを見極めることが大切です。一般消費者を顧客とした預金・投資など金融商品を運用・販売するためには、様々な条件や規制を伴う「登録」や「許可」などを金融庁(財務局)から受ける必要があります。登録業者であれば会社概要などわかりやすい場所にその旨を表示しているはずです。
金融庁に「金融サービス利用者相談室」があります。この中で「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」が昨今の投資詐欺の広がりを受けて開設されています。この相談ダイヤルでは、損害を被った場合に限らず、詐欺的な投資勧誘を受けて、不審に思った方や投資を悩んでいる方などからのご相談等も受け付けています。
リスク・リターン + ライフプランニング
正規の金融商品でも、自分の投資目的やリスク許容度に合っているかの確認が必要です。FPによる総合的な資産設計の中で、各投資商品の位置づけを明確にすることで、バランスの取れた資産形成が可能になります。大阪のFP事務所 ライトオブライフのFPは、自らが金融商品を販売しない立場から、客観的に見たセカンドオピニオンの提供や、お客様のライフプランに合わせた最適なポートフォリオ(金融商品の種類やその組み合わせ)をご提案できます。
インフレや通貨価値の変動といった不安は現実のものとなっており、それに乗じた詐欺的な投資話も増えています。こうした時代だからこそ、独立系FPによる中立的なアドバイスが重要です。資産防衛の第一歩として、ぜひライトオブライフにご相談ください。皆様の大切な資産を守るお手伝いをいたします。
参考
金融庁ウェブサイト 「金融サービス利用者相談室」 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html
ファイナンシャルプランナー(FP)への相談については、以下のコラムも参考にしてください。
【大阪・FP事務所】ファイナンシャルプランナーへ相談する際に役立つコラム一覧
この記事を書いた人
桐山 昌也
株式会社ライトオブライフ 代表取締役 ファイナンシャルプランナー(FP)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)・MBA(経営学修士)
京大卒、銀行・メーカー勤務を経て、現在大阪を中心に独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。
「出張型FP」・「最適なアドバイスのできる独立系FP」・「サポートの頼れる実務的FP」・「保険・投資販売しないFP」を特徴としている。
ライフプラン相談・家計改善・資産運用相談は「ライトオブライフのFP」へ https://light-of-life.jp/