副業や投資を始める方が増える中、「会社に知られたくない」「住民税の急増で困った」という声をよく耳にします。大阪を拠点とする独立系FP事務所の経験から、住民税の「普通徴収」を活用したプライバシー保護と効率的な納税方法をご紹介します。
住民税は前年の所得に対して課税され、通常は給与から天引きされる「特別徴収」が適用されます。この方法では、副業や投資による所得増加が給与からの天引き額増加として表れるため、会社側に「何か別の収入があるのでは?」と気づかれる可能性があります。

プライバシーの守り方
私がファイナンシャルプランナーとして多くのクライアントにアドバイスしているのは、副業・投資所得分だけを「普通徴収」にする方法です。これにより、本業の給与からは通常分のみが天引きされ、副業・投資分は自分で納付することになるため、会社に余計な情報が伝わることを防げます。
この選択は確定申告時に行います。確定申告書第二表の「住民税に関する事項」で「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄を見つけ、「自分で納付」を選択するだけです。これだけで、副業・投資分の住民税のみが普通徴収となります。
「普通徴収」活用時の注意点
ただし注意点もあります。普通徴収を選択すると、自分で納付期限を管理する必要があります。延滞すると延滞金が発生するため、納付書が届いたらすぐにスマホのカレンダーでリマインダーなどに登録するなどの工夫が効果的です。
また、普通徴収分の住民税は年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付します。資金計画を立てる際は、この納付時期を考慮しておきましょう。特に投資で大きな利益が出た年の翌年は、予想以上に高額な住民税が課される場合があります。
住民税の税率は、多くの場合、所得に応じた所得割(約10%)と均等割(年間数千円)で構成されています。例えば副業で50万円の所得があれば、翌年の住民税は約5万円増加する計算になります。
FP事務所での相談事例では、クライアント様が副業で得た100万円の所得に対して、翌年約10万円の住民税が課されることを知らず、資金繰りに苦労されたケースがありました。このようなトラブルを避けるためにも、事前の計画が重要です。
翌年には確実に納付しなければならないので、納税用の資金がいくら必要か事前に見積もって、安全性の高い金融商品(例:定期預金)で、分別して別途確保しておくことをお勧めします。
株式・投資信託などは「特定口座」+「源泉徴収あり」を選択で
上記の文章では、投資所得を確定申告する前提でお話してきましたが、株式・投資信託の投資だけを行っている方であれば下記の口座の選択方法によっては、そもそも確定申告をしないので所得増加が会社に伝わる心配がありません。
証券会社の口座には「特定口座(源泉徴収あり)」・「特定口座(源泉徴収なし)」・「一般口座」があります。特定口座の「源泉徴収あり」を選択すれば、売却益や配当金にかかる税金(20.315%)がすでに徴収されているため、原則として確定申告が不要です。これにより、会社に住民税の通知が行くことなく、資産を増やせます。
まとめ
確定申告時に給与・公的年金等以外の所得について「普通徴収」を選択することで、本業の給与からは本業分の住民税のみが天引きされ、副業や投資の所得に対する住民税は別途自分で納付することになります。プライバシーを守りながら、適正に納税できる方法として、当FP事務所のクライアント様も多く利用されています。
副業や投資を行う方が増える現代社会では、税金の知識も資産形成の重要な要素です。特に住民税は自治体によって細かな違いがあるため、例えば大阪エリアの税制に詳しい地元の専門家に相談することで、より正確なアドバイスを受けることができます。
当FP事務所では、お客様の収入状況や将来計画に合わせた最適なプランをご提案しています。住民税だけでなく、所得税や社会保険など、副業・投資に関わる様々な制度についても、総合的な立場からアドバイスいたします。大阪を中心に活動するファイナンシャルプランナーとして、皆様の資産形成をサポートいたします。
参考
国税庁ウェブサイト「手順6:住民税、事業税に関する事項を記入する」
「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/03/order6/3-6_02.htm
外国株式をお持ちの方に関しては、当社Webサイト「FPの豆知識」の下記のコラムも参考になります。↓
「外国株の配当は二重課税の可能性大 外国税額控除について【実践編・記入例付】」https://light-of-life.jp/2025/01/28/tax-return/
ファイナンシャルプランナー(FP)への相談については、以下のコラムも参考にしてください。
【大阪・FP事務所】ファイナンシャルプランナーへ相談する際に役立つコラム一覧
この記事を書いた人
桐山 昌也
株式会社ライトオブライフ 代表取締役 ファイナンシャルプランナー(FP)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)・MBA(経営学修士)
京大卒、銀行・メーカー勤務を経て、現在大阪を中心に独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。
「出張型FP」・「最適なアドバイスのできる独立系FP」・「サポートの頼れる実務的FP」・「保険・投資販売しないFP」を特徴としている。
ライフプラン相談・家計改善・資産運用相談は「ライトオブライフのFP」へ https://light-of-life.jp/