はじめに
「投資は結局ギャンブルと同じではないか」という声をよく耳にします。確かに両者ともにリスクがあり、将来の不確実性を伴います。しかし、その本質には大きな違いがあります。大阪を拠点に活動する独立系FP「ライトオブライフのFP」が、「ゼロサムゲーム」・「プラスサムゲーム」という経済学の概念を使って、決定的な違いを解説します。

ゼロサムとプラスサムの基本概念
違いを明確に理解するための概念が「ゼロサムゲーム」と「プラスサムゲーム」です。ゼロサムゲームとは、参加者全員の利益と損失を合計するとゼロになるゲームです。つまり、誰かが得をすれば、必ず誰かがその分損をします。これがギャンブルの基本構造です。
麻雀にみるゼロサムの世界
例えば、麻雀を考えてみましょう。四人で行う麻雀では、一人のプレイヤーが獲得するポイントやお金は、必ず他の三人からの損失で成り立っています。麻雀の場に参加した四人の利益と損失を合計すると(場代を除けば)ゼロになります。勝者の喜びは必ず敗者の損失の上に成り立つのです。娯楽としては楽しいゲームですが、全体でみれば、新たな価値は生まれていません。
マイナスサムゲームとしての公営ギャンブル
さらに厳密に言えば、多くのギャンブルは「マイナスサムゲーム」です。これは参加者全体が必ず損をするゲームです。日本の公営ギャンブルを見てみましょう。競馬の払戻率は約70~80%で、賭け金の20~30%は主催者の運営費や税金として差し引かれます。競艇・競輪も同様に75%程度の払戻率です。最も厳しいのは宝くじで、払戻率はわずか47%程度。つまり、10,000円分購入すれば平均4,700円しか戻ってこないのです。
パチンコやスロットも還元率は約80~85%と言われており、長時間プレイすれば確実に損失が膨らみます。こうした「寺銭」(胴元の取り分)があるため、参加者全体で見れば必ず損をする仕組みになっているのです。資産形成を目指す方にとって、これらは積極的に避けるべき対象と言えるでしょう。
プラスサムゲームとしての投資
一方「プラスサムゲーム」とは、参加者全体の利得の合計がプラスになる、つまり社会全体の富が増えるゲームです。これが「投資」の本質です。株式投資では、企業の成長によって価値が増大し、投資家も企業も、そして社会全体も豊かになる可能性があります。
企業による価値創造の仕組み
企業はどのように価値を創造するのでしょうか。企業は事業活動を通じて、社会に新たな価値をもたらします。例えば、技術革新によって従来よりも効率的な製品を開発したり、未解決の社会問題に対するソリューションを提供したりします。
製造業では原材料を加工して付加価値の高い製品に変えることで価値を生み出します。単なる石ころのような鉄鉱石や石炭から、鉄鋼会社は鉄鋼を生み出し、さらに自動車会社は鉄鋼を仕入れて、様々な部品を加工・組み立てして、自動車のような価値ある製品が生まれます。サービス業では、様々な技術を駆使して人々の時間や体験の質を向上させることで価値を創造します。また、テクノロジー企業は、新たなイノベーションによって従来存在しなかった便益をもたらします。例えば製薬会社は新薬の開発によって、それまで治療が難しかった病気の治療を可能にします。アップルがiPhoneを開発したことで、単なる通話機器だった携帯電話は多機能デバイスへと進化し、私たちの生活様式を一変させ便利な世の中となりました。
こうした価値創造活動は、企業の収益向上、株価上昇、配当増加などの形で投資家に還元されるだけでなく、社会全体の生産性向上や生活水準の上昇にもつながります。
短期投資とギャンブルの類似性
ただし、すべての投資行動がプラスサムゲームになるわけではありません。短期的な株式売買や投機的な取引は、実質的にはギャンブルに近い性質を持っています。例えば、株価の短期的な変動を狙ったデイトレードでは、企業の本質的な価値創造とは無関係に、他の投資家との間でゼロサムゲームを展開していることになります。真の意味での投資の恩恵を受けるには、企業の成長と価値創造に焦点を当てた中長期的な視点が不可欠です。「投機」と「投資」という言葉の違いはここにあります。
長期的視点の重要性
投資家はこうした企業の価値創造活動に資金を提供することで、その価値の一部を受け取る権利を得るのです。これはギャンブルのような単なる富の移転ではなく、新たな価値の創造と分配のプロセスなのです。
私が独立系FP事務所を通じてお客様にお伝えしているのは、この「価値創造」の視点です。投資は単なる資金移動ではなく、社会的価値の創造に参加するプロセスなのです。
インフレ時代の資産防衛戦略
特に昨今のインフレ環境下では、単に預金するだけでは資産価値が目減りしてしまいます。かといって、ギャンブル的な投機に走るのは危険です。プラスサムゲームとしての投資を理解し、長期的な視点で資産を育てていくことが重要です。
まとめ
当FP事務所では、金融機関と利害関係のない独立系FPとして、お客様一人ひとりに合った資産形成プランをご提案しています。あなたが今初心者であったとしても正しい資産運用の勉強をおすすめし、投資の本質を理解して頂き、長期的な視点で資産を育てていく着実な準備を一緒に行ってしていきましょう。投資とギャンブルの違いをより深く理解し、ご自身の資産形成に活かしたいとお考えの方は、ぜひ大阪の当FP事務所にご相談ください。中立的な立場から、お客様の将来に寄り添った資産運用のアドバイスをご提供いたします。
参考
JRAウェブサイト: ホーム>馬券・JRA-UMACA>馬券のルール
https://www.jra.go.jp/kouza/baken/index.html
宝くじ公式サイト「収益金の使い道」
https://www.takarakuji-official.jp/about/proceeds/top.html
老後資金について真剣に考えよう。ただ貯める・残すだけではない老後資金・ライフプランの考え方について、
当社Webサイト「FPの豆知識」の下記のコラムも参考になります。↓
「【最新】平均余命から逆算!健康寿命と「Die with Zero」でデザインする、後悔しない老後資金計画」
https://light-of-life.jp/2025/05/13/lifeplan_update/
ファイナンシャルプランナー(FP)への相談については、以下のコラムも参考にしてください。
【大阪・FP事務所】ファイナンシャルプランナーへ相談する際に役立つコラム一覧
この記事を書いた人
桐山 昌也
株式会社ライトオブライフ 代表取締役 ファイナンシャルプランナー(FP)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)・MBA(経営学修士)
京大卒、銀行・メーカー勤務を経て、現在大阪を中心に独立系ファイナンシャルプランナーとして活動。
「出張型FP」・「最適なアドバイスのできる独立系FP」・「サポートの頼れる実務的FP」・「保険・投資販売しないFP」を特徴としている。
ライフプラン相談・家計改善・資産運用相談は「ライトオブライフのFP」へ https://light-of-life.jp/